それは(2005年)3月下旬のこと、いよいよ新しい車が納車されるということで、嬉々として家族でディーラーへ行った時のことでした。まだ日本へ帰国して1週間ほどしかたっていません。購入したのはホンダのミニバン、オデッセイです。登録手続きが遅くなった影響で既に夜の8時近かったでしょうか。外はあいにくの雨です。ディーラーへ行って道路に面したコーナーのテーブルでセールスマンのHさんと納車関係の書類の作成、説明などを聞いていました。

目の前の道路は成田市内を貫通する国道51号線でもともと車が多いのですが、この日はやたらと多くの消防自動車が走り、また成田空港方面から多くの救急車がサイレンを鳴らしながら走ってきていました。何だろう、と思ってニュースを見たら、その日に成田へ着陸した海外の航空会社の飛行機が乱気流に巻き込まれ40人以上もの方が怪我をしたとのこと。そのため多くの救急車が走っていたのです。
「何か物騒だねえ」と言いながら我々は話を進めていました。

打合せを始めて30分ほどたった頃でしょうか。その時です。
突然「ドンッ!」という大きな音が近くでしたかと思った瞬間、建物と座っている机がグラグラと激しく揺れ、直後に道路に面したすぐ横の窓ガラスに何か小さなものがたくさん「バチバチバチ」と当たってきました。私たちは「何だ?!」と一瞬何が起こったか分からず、隣にいたHさんは「うわっ!」と叫んで立ち上がっていました。

思わず窓の外を見ると目の前を何やら黒い塊が「ず〜っ」と滑っていき目の前で止まりました。そこで静かになったので皆で恐る恐る窓の外を見ると、何と!そこには歩道に乗り上げた黒い車が止まっているではないですか!
そうです! ようやく事態を認識しましたが、車が道路よりディーラーの建物に突っ込んできたのです。

さらに良く見ると車はボンネットから左半分はすっかりつぶれており衝撃の大きさを物語っています。急に運転手の方はどうか、と心配になり運転席を覗き見ると、きちんとシートベルトをしていたせいでしょうか、額から血を流しておりうめいていましたが、何とか生きているようです。早速ディーラーの何人かがすぐに外に出てその運転手の方を建物内に連れてきて休ませていました。1人で歩けるので大きな怪我ではないようで一安心。

外はまだ雨が降っています。きっとこの車はスリップして横滑りしながらディーラーの建物に衝突したのでしょう。しかもちょうど我々が座っていた建物の角のあたりに。
窓ガラスにバチバチと当たったものは、きっと車の壊れた窓ガラスの破片であったのでしょう。あたりにはガラスの破片がたくさん飛び散っていました。

落ち着いてよく見たら車が衝突したあたりは斜面になっている関係上、建物の下に50cm位のコンクリートの土台がありました。車はちょうどそこに衝突したので跳ね返されたのでしょうが、もしこれがなかったら、まともに窓ガラスを突き破って建物の中に突っ込んできた可能性がありました。そうなった場合、その場所にいた私たちはどうなっていたか、と思うとぞっとしました・・・。九死に一生を得たという感じでしたが、恐ろしくなって、窓側の席を立って窓から一番遠い奥の席に場所を移して打ち合わせを続けました。

その後打合せも終わり無事に新車を引き取って嬉々として帰りましたが、外はまだ雨がしとしと降っておりディーラーの前には無残につぶれた車が残っていました。既に警察のパトカーが来て現場検証をやっているところでした。
本当に危機一髪というところでした。

(2005年8月28日)
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